さて、これをご覧になられている諸君。
インターネットが発達し、電脳世界を擬似人格プログラム―――ネットナビが闊歩する時代に
なっても、怪談話や不思議体験談はどうやらどっこい健在であるようだ。
今から語られるこの物語は、熱斗とロックマンが体験した、ちょっぴり不思議な物語である……。
「なぁ、4丁目の『幽霊屋敷』でまたオバケが出たんだってさ!」
「ええっ!? またかよ?」
「なんでも昨日あそこを通りかかった八百屋のオバチャンが、建物の窓にボォーッと光るものを見たんだって」
「あ、それ見たって、6年生の男の子も言ってたわよ」
今や秋原小学校、いや秋原町全体では『幽霊屋敷』の噂が流れていた。
もちろん、熱斗たちのクラスでも、その話題で持ちきりである。
「このところ、4丁目の幽霊屋敷の話ばっかだな、ロックマン」
『うん。本当かどうかはわからないけど、お化けを見たって人がこんなに 多いとね……』
熱斗の言葉に、PETの中のロックマンは不安げにうなずく。
「でも……その『お化け』って本当にいるのかしら? どうも信じられないよね……」
「バッカじゃないの?あんたたち。そんなものいるわけないじゃない。
どうせ、ガラクタかなんかを『幽霊』と勘違いしただけじゃないの?」
首をかしげるメイルにやいとがバカバカしいとばかりに、反論する。
「そうかなぁ…………」
『でも、わたしは『お化け』より強力なウィルスがたくさん出るほうが怖いと思うわ』
メイルのナビのロールが呟いた。
『私も同感です』
やいとのナビ、グライドもロールの言葉にうなずく。
どうやら、彼らネットナビには『幽霊』や『お化け』といった、プログラムの概念に当てはまらない得体の知れないものがどういうものなのか、理解しがたいようだ。
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