その直後。
「キャアーーーーッ!! また出たぁあーーーー!!」
女性の悲鳴が、轟いた。
『熱斗君、この悲鳴は……!?』
「……ケロさんだ!!」
熱斗が叫んだ。
『ロールちゃん、今の悲鳴がした場所どこかわかる?』
『ちょっと待ってロック。 今サーチしているから。
…………………………………検索終了!
ここから左に曲がった200メートル先、右の部屋に生体反応が4つ!』
「わかった!!」
ロールの声を聞いて、真っ先に熱斗が駆け出していく。メイルとやいとも、慌てて後を追う。
バターーーーンン!!!
「ケロさんっ!!」
熱斗は、目的の部屋のドアを思いっきり開いた。
そこで見たものは……。
「あ、あ…………あわわ…………」
「た……助けてぇ…………」
「ひええええ、お、俺を食べないでくれぇ!!」
部屋の隅で、カエルを模した帽子を被りマイクを持った女性――緑川ケロと、TVカメラを抱えた屈強な男性二人とメガネをかけた若い女性一人。そして、右足首に怪我をしたデカオが頭を抱えてうずくまっていた。
…………ウフフフ……キャハハハ…………アヒャヒャヒャ……
彼らの周りを取り囲んで、アンティークのフランス人形が十数体、奇怪な笑い声をあげながらぐるぐる飛び交っているという、なんとも奇怪で現実的にありえない光景が熱斗たちの目の前に繰り広げられていた。
「デカオッ!大丈夫か!?」
「ね、熱斗っ!?」
熱斗の呼びかけに、半べそ状態のデカオが顔を上げる。
「ああっ、ごらんください! 我々のピンチに今っ、光熱斗少年が助けに来ましたぁーーー! これぞまさしく天の助けですっっ!!」
ケロさんも、熱斗の姿を確認するや表情が明るくなる。
こんな状況にでも、しっかりカメラに向かって実況しているところはさすがプロというべきか。
「今助けてやるからなっ!」
熱斗は傍においてある椅子を逆さにして持ち上げ、人形めがけてぶん回す。
バシィィッ! ガシャン!! バシィィッ! ガシャン!!
次々と人形が椅子で叩きつけられ、床に落ちていく。
熱斗が人形を全て倒したのは、およそ5分かかったのだろうか。
「あ、ありがとう。助かったよ、熱斗ぉ…………」
安心したデカオが目を潤ませる。
『うわぁぁん、デカオさまぁああ!! 助かってよかったでガスーーーー!!!』
デカオのPETの中で、ガッツマンもなりふり構わずおいおい男泣きしている。
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