「ははははーーーー!! どうだ、手も足もでまい!?
我が剣の錆となれ、ロックマン!!」
鏡の中の剣の攻撃はなおも、ロックマンを一方的に攻撃する。
「あうっ、ぐっ…………」
ロックマンのHPがどんどん削られていく。
『ね、熱斗く…………ん』
(くそっ、どうすればいいんだ!?)
熱斗があせりの表情を浮かべる。
反撃しようにも、ロックマンを回復させるのに精一杯である。
そうこうしていくうちに、回復チップが尽きてしまった。
他のチップのストックが全部無くなるのも、時間の問題であろう。
『うう………………』
HPが100を切った。
もはやロックマンは、立っていることさえできない、ボロボロの状態であった。
「ちくしょう、このままじゃロックマンが…………ん? これは!?」
熱斗は、わずか手元に残っているチップの中の一枚を見る。
「待てよ? ………………これならば、勝てるかも」
迷わず、そのチップをPETのスロットに差し入れた。
「熱斗君、このチップは……?」
ロックマンは、モニターの向うの熱斗を見つめる。
熱斗のその目つきは、真剣そのものであった。
「…………わかったよ、熱斗君」
彼の考えを悟ったのか、ロックマンはうなずき目を閉じて身構えた。
「ふん…………もう万策が尽きたか?」
再び鎧をまとったナビの姿で現れたミラージュマンが、あざ笑いの笑みを浮かべる。
が、ロックマンは何もいわず、そのままじっとして立っている。
その姿は、なす術もなく途方にくれているように見えた。
「…………どうやら、あの世へ行く覚悟ができたようだな。ならば、とどめを刺してくれるわっ!!」
再び何枚もの鏡が、ロックマンの周囲をぐるっと取り囲む。
熱斗は何も言わず、ただただPETのモニターを食い入るように見つめていた。
反撃のチャンスは、たった一度だけ。
これで外したら、確実にデリートされてしまう。
でも、いちかばちかやってみるしかない…………。
「これでデリートだ、ロックマンッッ!!!
<ミラージュブレイド>!!!!!」
姿なきミラージュマンの勝利を確信した叫びとともに、
鏡の中から、無数の剣が串刺しにせんとばかりにロックマンに襲い掛かる。
危うし、ロックマン!
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