竜馬は僕を岸辺に上がらせると、ものすごい跳躍力で空飛ぶ絨毯の上に飛び移った。
巨大雷魚が二人を叩き落とそうと、団扇のような大きな尾ひれを大きく振り回してくるが、二人を乗せた絨毯は、それを巧みにヒラリヒラリとかわしていく。
「業火の吐息!」
「空中雷刃剣!」
二人が怪魚に向けて炎と雷の弾を次々と放つ。
が、固いウロコにことごとく跳ね返されてしまった。
「ダメだわ、攻撃が効かない!」
「くそっ、どうすればいいぜよ!」
次第に怪魚に一方的に押されていく。
「ルージュ、竜馬……」
僕はそんな二人をただ見ているだけしか出来ない自分を情けなく思った。
しばらくして。
「外がダメならば…………」
竜馬が何かを思い付いたらしく、ルージュの顔を見つめた。
「ルージュ、暫く奴を引き付けてくれ…………わしにいい考えがあるきに」
「え? 竜馬、どうするの?」
「こうするぜよ!!」
次の瞬間、何を思ったのか竜馬は怪魚の大きな口の中へ飛び込んだ。
「「竜馬!?」」
僕とルージュがほぼ同時に叫ぶ。
あっという間に竜馬は怪魚の腹の中へ飲み込まれてしまった!
「きゃあっ!?」
怪魚はさらにルージュをも丸のみにしようと、鋭い歯の並ぶ口を大きく開けて襲いかかってきた。
ルージュは躍起になって追いかけてくる怪魚をかわしながら、火の玉を放って牽制する。
だけどこのままじゃ……。
僕の脳裏に、『最悪の事態』のビジョンが浮かび上がる。
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