だが、次に僕の目の前に飛び込んできたものは、意外な光景だった。
あと一歩でルージュを飲み込もうとした怪魚の様子がおかしい。
なんだか苦しそうに巨体をよじらせ、バシャバシャ暴れている。
すると、ウロコがポロポロと剥がれ落ち、腹に裂け目が走ったかと思うと何かが中から飛び出してきた。
なんとそれは、竜馬だった。
白銀の鎧は、返り血を浴びて真っ赤になっている。
「竜馬!」
「ルージュ、今ぜよ! 奴にとどめを!」
「わかったわ!」
竜馬の叫びに応えて、ルージュが両手を挙げる。
たちまち頭上に大きな火の玉が現れ、それを怪魚めがけて放つ!
「……………………………………灼熱の罠!!」
間髪入れずに怪魚の体を数本の火柱が貫く。
ザバーーーーンン!!
怪魚はあっという間に炎に包まれ、凄まじい水飛沫とともに河の中へ沈んでいった。
元の姿に戻ったルージュと竜馬、そして僕は何も言わず、ただただ怪魚の最期を見届けていた……。
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