#6 デカオ&ケロさん救出

「この怪我、一体どうしたの?」
 メイルがハンカチを包帯代わりにして、怪我の手当てをしながら問いかける。
「……俺、心霊写真が取れる場所を探してこの部屋に入ったら、急にお化けが出てきて追いかけられたんだ」
 デカオが、手にしている壊れた旧式のカメラを見つめる。
恐らくお化け(の立体映像)に追いかけられているときに、何かのはずみで壊れてしまっただろう。

「お化けから逃げている時に、うっかりそこの穴に落ちちまって……穴の中が深くて、抜け出すことができなかったんだよ……」
 指差した先の床に、踏み抜いてできた穴の跡があった。穴の中を覗いてみると、なるほど子供の手が地上に届かないほど、かなり深いものであった。
 
「長いこと助けを待っていたら、そこへケロさんたちがやってきて、俺を穴の中から助け出してくれたんだ」
「デカオくんを助けて、この部屋から出ようとしたら、さっきのお人形たちに襲われたってわけだったのよ」
「そうだったのか…………」
 デカオとケロさんの説明を聞いて、熱斗は納得してうなずく。
 
「まったく、アンタって人はどこまで人騒がせなのよ。……ま、無事で何よりだけどね」
「めんぼくねぇ…………」
 やいとの言葉に、デカオがすまなそうにうなだれる。

「! 熱斗、これをみて」
 手当てを終えたメイルが、床に落ちて壊れた人形を指差す。
粉々になった人形の頭の中から、あの超小型ドローンとよく似た形の装置が転がり落ちていた。
『この受信装置で、こいつを動かしていたんだね』
「うん、そしてこいつを遠隔操作で動かしている奴がこの家のどこかにいるんだな?」
 熱斗とロックマンが画面越しにうなずきあう。

「あのう…………」
 メガネの女性が、熱斗におずおずと話しかける。おそらくケロさんたちを探しにいったスタッフとは彼女のことであろう。

「……私、さっき西側の一番奥の部屋で妙なものを見かけましたけど……」
「え、それ本当?」
「は、はい…………暖炉の上になんか大きな箱が置いてあって、赤いランプがチカチカ光っていたんです。その時はラジオかなんかだと思って、その部屋を出たのですが……」
『たぶん、それは無線LAN装置の本体だね』
 女性の証言にロックマンがつぶやく。

「よし、そこへ行ってみよう!」
 熱斗は立ち上がって、部屋のドアへ向かう。
「あっ、熱斗! 何処へ行くの?」
 メイルが叫んだ。
「メイル、やいと。お前らはデカオとケロさんたちを連れて、先にこの家から出ろ」
「熱斗はどうするつもりなの?」
「俺は、こんなふざけた騒ぎを起こした奴をつきとめにいく。頼んだぜ、メイル」
「熱斗…………あんまり無茶しないでね」
「ああ、わかってるよ。 いくぜ、ロックマン!」
『うんっ!』
 そういうなり、熱斗は部屋を勢いよく飛び出していった。