『今だ!ロックマン!!!』
熱斗の叫びと同時にロックマンの両目がカッと見開く。
シャキーーーーーンン!!!!!
一筋の白い刃が、虚空を凪いだ。
「!!!???」
ミラージュマンが、声なき驚愕の声を上げる。
ロックマンの回りを取り囲んでいた鏡が、あっという間に幻のごとく消えた。
ただひとつを残して。
「そ、それは…………<イアイフォーム>?!」
ひとつだけ残った鏡の中から、ミラージュマンの声が聞こえる。
ロックマンの手には、一振りの刀が握られていた。
<イアイフォーム>。
自エリアに侵入した敵を、一瞬のうちに切り捨てる攻撃チップ。
しかし、発動するタイミングが難しく、それが少しでも遅れると敵の攻撃を受けてしまう、まさに一撃必殺のチップである。
『危なかったな、ロックマン。このチップをフォルダに入れておいて正解だったぜ』
「うん。鏡のどれかにミラージュマンの本体が隠れていることに熱斗君が気づいてくれなかったら、もうだめだったかもね……」
熱斗の言葉に、ロックマンがつぶやく。
そう、ただじっと立ち尽くしていたのではない。
<ミラージュブレイド>が繰り出されている瞬間、分身にまぎれこんでミラージュマンの本体が攻撃を仕掛けるほんのわずかな隙を狙って、待ち構えていたのだ。
「お、おのれ………………」
ビシッビシッビシィィィ!!!
鏡―――ミラージュマンに亀裂が走る。
パリィィーーーーン!!!
あっという間に、ミラージュマンの体が砕け散っていく。
――――だが。
どういうわけか、その破片の数々は消えずに、静止画像のごとく宙に浮いていた。
「なに!?」
『こいつ、まだデリートしていないのか!?』
驚く熱斗とロックマン。
<フハハハハーーーー!! これしきのことで、私は死なんよ!!>
ミラージュマンの高笑いが轟く。
<この命に代えても、我が主のもとへは行かせん!
その命もらいうけるぞ、ロックマン!!>
その声とともに、禍々しく光る破片の数々が獲物を狙うピラニアのごとく一斉にロックマンに襲い掛かった。
「!!」
『危ないっ、よけろロックマン!!!』
熱斗が叫んだ。
たとえばこんな世にも奇妙な物語 / ロックマンシリーズTOP / textへ戻る